十字園では7年前に人権擁護委員会を設置し、

その後、人権擁護委員会の中に虐待防止委員会も発足させ、

ご利用者様の人権擁護と虐待防止への取り組みを行ってきました。

今年度からは、更生慈仁会に虐待防止委員会を新たに設け、

法人として虐待防止への環境整備の強化に取り組み始めました。

 

11月21日(月)に、法人虐待防止委員会主催の研修会を開催しました。

いなほ法律事務所の弁護士、磯部亘様を講師にお招きし、

「児童、高齢者、障がい者虐待防止の法的理解について」というテーマで

講演を頂戴しました。

更生慈仁会は主に児童施設、高齢者施設、障がい者施設を運営しており、

それぞれの分野に虐待防止法が存在しています。

講演ではそれら全てを網羅するように、

児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法の概要について

説明をして下さいました。

 

「十字園では虐待は絶対にありません」と断言したいところですが、

残念ながら「虐待はどこの施設でも起こり得るもの」ということを

理解しておかなければなりません。

特に入所施設は外部からの目が入りにくい環境にありますので、

虐待が起こる可能性のある環境であることを職員自身が自覚することが大事だと思います。

磯部様のお話の中で触れられていましたが、

虐待が起きる背景には

職員が業務の多忙さから人権への意識が低くなり麻痺してしまうことや、

ご利用者様のパニックや拘りに対処する知識や経験がなく、

強制力を持って対処しようとすることに起因することがあります。

「虐待はしてはいけないこと」というのは誰もが知っていることですが、

頭で理解しているだけでは防ぎ切れず、

ご利用者様お一人おひとりの障がい特性をきちんと理解し、

突発的な行動にも落ち着いて対応できる程の支援スキルを身に付けることが

虐待の防止にも繋がることを改めて痛感しました。

 

法律の概要が中心の研修会でしたが、

各分野での虐待の傾向(要因、背景など)や法律の意義について、

具体的な事例を織り交ぜながら嚙み砕いてお話をして下さったお陰で、

とても分かりやすく受講することができました。

虐待防止法の内容を知るだけでは研修会の目的は達成できません。

学んだことをご利用者様への支援と施設運営に還元していけるよう、

また、絶対に虐待をしない施設づくりを実現する為に、

職員一同で精進していきたいと思います。

 

ご多用の中、講師を引き受けて下さいました磯部様、

大変ありがとうございました。