法人研修部主催の現場報告会が行われました。
法人の事業所の数は年々増えており、
地域も拡大してきています。
それに伴って、
同じ法人で働いていながらも他の施設がどのような活動をしているのか
よくわからないという状況も出てきています。
毎年3〜4施設が現場報告会で各施設の取り組みや現状を報告しており、
他施設の状況を知る良い機会となっています。
今年度は十字園が発表施設となり、
一番の課題となっているご利用者様の重度化・高齢化の現状について報告しました。
発表者は、十字園の中でも特に重度化・高齢化に直面しているいぶき寮の寮主任です。
発表内容は要約すると以下のようになります。
○ 知的障害者の入所施設でなぜ高齢化が問題になるのか? それは若年層と高齢層が
混在しており、高齢層の支援に比重が偏ってしまいがちであること。
○ 十字園の最年長者は78歳の男性。全盲の方だが、壁伝いにご自分でトイレまで歩いて
行くことができる元気な方。最も若いのは24歳の女性。中には30歳代で胃ろう造設を受
けた方もおり、若いから元気、年長だから車椅子という簡単な分け方はできない。
○ 約5年前からいぶき寮内の一部でユニット化を試みており、高齢や虚弱の方を中心に
ゆったりとした日課で過ごしている。このユニットで生活しているお一人が2年前に体調を
崩したが、ご本人の受診拒否により入院することもできず改善の兆しも見られないことか
ら、『看取り』について話し合った時期があった。今年の夏にも体調が悪化することがあっ
たが、2ヶ月に渡る療養で何とか夏を乗り越えて現在に至っている。
○ 胃ろうやインシュリン注射などの対応もあり、また、医療スタッフの判断を必要とする事案
が多くもなったことから、2年ほど前より看護師4名が土日も問わず不規則で勤務する体制
になった。
○ 事故やトラブルは職員数の少ない時間帯に発生しやすい為、昨年度からは21:30〜6:
00までの時間に各寮4名の夜勤者を補助する5人目の夜勤者を配置している。
○ ご利用者ご本人の高齢化の中で両親とも他界され、存命でも90歳を超えていたりする。
世代交代されている家族もいるが、遠くに住む兄弟が年に数回来るのが精一杯で面会や
帰省も困難になっている。
○ 成年後見制度を利用する方も多いが、そのほとんどは身内の方が後見人になっている。
「(ご利用者様)お一人お一人の人生を思う時、
高齢期に入るご利用者の皆様から学ばせて頂くことが多くあります。
謙虚な気持ちで支援させて頂くことを原点にして
十字園の高齢化の問題を考えていきたいと思います。」
という言葉で報告は締め括られました。
今後ますます進行する重度化・高齢化の問題について職員が一丸となって知恵を出し合い、
高齢層のご利用者様のみならず、
若年層のご利用者様にとっても安心して、
そして、充実して暮らせる十字園を築き上げていきたいと思います。